ニュースリリース

2003.03.14

世界最高スピード0.40秒回転を実現した16スライスのマルチスライスCTの販売について
― 心臓冠状動脈の高精細描出、全身検査へも応用可能 ―


Aquilion16 Super Heart

 株式会社 東芝は、16スライス同時撮影可能なマルチスライスCTとして1回転0.40秒(400ms)の世界最速スキャンを実現した「Aquilion16 Super Heart」を製品化し、本日から国内向け販売を開始します。
 新製品は、1回転0.40秒の世界最速スキャンに加えて、心拍の周期をとらえて異なる位相(角度)からの投射として得られる画像データを組み合わせるセグメント再構成法(*1)を採用することで、時間分解能(*2)を最短0.05秒(50mS)と従来機種に比べ20%改善しました。これにより、拍動による画像への影響を大幅に低減し、心臓の冠状動脈の高精細描出を可能にしました。
 新製品は、本年2月から日・米の医療施設(注)に設置し、本格的な臨床検査を開始しており、高速スキャンが効果を発揮する循環器疾患の診断はもちろん、全身撮影の幅広い分野で成果を上げるものと考えています。

 心臓検査においては、呼吸による心臓位置の動きと拍動による心臓の動きによる画像のぶれをいかに抑えるかが課題となっていました。新製品では、高速スキャンによる息止め時間を短縮するだけでなく、最適なスキャン条件の設定を支援する「ハート・ナビ」を搭載し、心拍の個人差に応じた撮影時条件、心拍周期・心拍変化をとらえた最適なスキャン速度の選択を容易にするとともに、セグメント再構成法により、画像のぶれの影響を排除した最適画像を得ることを可能にします。
 更に、造影剤注入後の最適撮影タイミングを逃さない「RealPrep(リアルプレップ)」機能や、心機能解析を行える心臓検査ワークフローを備えています。
 体躯部の検査においても、世界最長約180cmの体軸方向の撮影範囲により、全身のスキャンをわずか10数秒で可能としました。

 新製品は、世界最速の0.40秒スキャンの他にも、世界最小の0.5mmスライス、世界最大の体軸方向32mm幅検出器(2mmスライス幅 16スライス同時撮影)、世界最長(当社調べ)180cmの体軸方向の撮影範囲、世界最大の冷却効率1.4MHU/分のX線管球など、世界最先端技術で患者の負担軽減と検査効率の向上を実現します。

 東芝は国内CT市場で20年以上連続トップシェアを続けております。本製品を投入することにより、国内では、マルチスライスCT市場で60%以上のトップシェアを継続し、さらに世界でも2004年度までにマルチスライスCTのシェアトップを目指します。なお、Aquilion 16スライスCTシリーズは、12月の生産開始以来、わずか3ヶ月で世界に向けて100台の出荷を達成しました。



注:    「Aquilion16 Super Heart」臨床開始施設
藤田保健衛生大学 (愛知県)
Johns Hopkins University  (米国 メリーランド州)
*1    心拍の周期とCTの管球回転の周期をずらすことにより、1心拍あたりの画像を時間分解能の高いいくつかのセグメントに分解し、鮮明な画像を再構成するアルゴリズム。(添付参考資料参照)
*2    どの位短い時間で、情報を識別できるかという能力。CTでは、画像データを収集中の臓器の動きは画像のボケとなるため、同じ情報量であれば、短時間で収集した方が鮮明な画像が得られる。

製品名 型名 価格(税別) 販売目標(年間)
Aquilion16 Super Heart TSX-101A 14億円4千万円 200台
(医療用具承認番号:21000BZZ00377000)


Aquilion16 Super Heart の臨床上の特長

1.心臓検査


世界最速0.40秒スキャン、世界最小0.5mmのスライス幅、セグメント再構成ソフトによる世界最短の時間分解能(最短0.05秒(50ms))、加えて世界トップレベルの(S/N)特性により、従来マルチスライスCTでは難しかった心臓全領域に亘る微細な冠状動脈の描出がより安定して可能となります。さらに、収集したボリュームデータを使った冠状動脈の3D画像/MIP画像*3による高精度な形態診断から、心機能解析(CFA)まで同じボリュームデータを用いて行えます。また、解像度の高い心臓画像をコンスタントに提供することをサポートする機能「ハート・ナビ」を有しています。「ハート・ナビ」は医師/技師が患者の息止め後の撮影中の心拍数を予測して、最適な時間分解能を得られる撮影条件を選択することをサポートします。
*3    MIP画像  最大値投影。ボリュームデータを2次元画像にする方法。2次元データで空間が表現できる。


2.体躯部検査

世界最速の0.40秒スキャンで世界最大の2mmスライス幅16スライスの同時撮影ができることから、胴体部分(頚部から恥骨まで)の高分解能スキャンが僅か6秒で完了します。この検査時間の短縮は、呼吸休止が困難な患者にとっては検査受診時の大きなメリットとなり、スクリーニング目的から術後のフォローアップまで、One Stop Volume Imagingとして不可欠な検査となると予想されます。また、180cmの撮影範囲と冷却効率1.4MHU/分のX線管球により、頚部から足先まで、連続してわずか10数秒で撮影することも可能で、外傷の患者の全身撮影にも非常に大きな威力を発揮します。


3.脳血管領域検査

脳血管領域での検査(頭部CTアンジオ)では、世界トップレベルの検出器が実現可能とした(S/N)の良い薄いスライスと、より忠実な再構成法(特許登録済)により、動脈瘤の治療に使用するクリップ等金属素材によるアーティファクトの影響も押さえました。動脈瘤、血管狭窄、血管奇形等の診断がより詳細なレベルで達成でき、CTアンジオが益々定着してゆくものと期待されます。それによって患者の負担並びに病院の経済的負荷が軽減できます。


4.患者被ばくの低減

検出効率の高いX線検出器によって、管電流を連続的に変化しながらヘリカルスキャンを行い、撮影部位によって最適なX線量に制御することができます。これにより、患者の被ばく量を低減するだけでなく、低線量でも撮影部位に依存しない高画質が全撮影領域で得られます。

米国の医療情報WEBサイト掲載データによるとAquilion マルチスライスCTシリーズはマルチスライスCTの中で患者被ばくが世界最少となっています(www.auntminnie.com に掲載)。

 
Aquilion16 Super Heart の機能上の特長

1.データ処理機能


マルチスライスの大容量データを快適に扱う数々の機能を搭載しています。多くの画像を効率よく扱うためのイメージマトリクス表示や、スキャン後に自動的にMPR画像(*4)を作成する機能のほか、実際にフィルムに出力されるイメージ(仮想フィルム)を表示し、編集が扱えるフィルム処理機能などを搭載しています。


2.高画質

X線検出器は、約3万5千超の素子から構成されており、体軸方向にも精度の高いデータが得られ、高分解能でシャープな画像が得られます。中央には最小0.5mm用の素子を配しており、0.5mm×16スライスのisotropic(*5)分解能の高画質画像を得ることが可能です。また、0.5mmのような薄いスライス厚のヘリカルスキャンをルーチンで使用することが可能になり、高分解能ボクセルデータに基づく、高精細で、滑らかな3D画像、MPR画像が得られます。
多列化に伴う画像再構成上のひずみを東芝独自の再構成アルゴリズム(特許登録済)によって取り除き、16列マルチスライスCTの中でもトップクラスの画質を実現しています。なお、この再構成アルゴリズムの採用により16列では困難とされてきたチルトヘリカル(*6)も「Aquilion16 Super Heart」では実現されています。
*4    MPR画像
断面変換。収集したボリュームデータから指定した任意の断面を表示した画像。
*5    isotropic
「等方性」という意味で、3D画像を作成する時に、使用するデータが、X軸、Y軸、Z軸の各方向ともほぼ同じサイズの立方体として得られること(どの方向にも等質な高い分解能を有するという意味でこの言葉を用いる)。
藤田保健衛生大学 片田教授はマルチスライスシステムが持つべき最も重要な特性として、これを提唱されています。
*6    チルトヘリカル
架台を傾けてヘリカルスキャンを行う技術。特に、頭部スキャン時に、眼球への直接X線照射を避けることが可能。


3.優れた操作性

心臓検査のワークフローを最適化するための心臓検査用の機能・高性能を備えています。
ハート・ナビ:    心臓検査時には息を止めて撮影しますが、息止め後の心拍数を予測して、最短の時間分解能が得られる1回転の回転速度0.4/0.5/0.6秒の選択をサポートする機能です。オートモードでは、自動で選択します。1心拍20位相までの心臓画像データを作成し、心臓が最も静止状態に近い位相の選択を容易にします。
RealPrep:
(リアルプレップ)
   造影検査の最適タイミングをAutoとManualでセッティングでき、造影剤のタイミングを逃しません。また、造影タイミングが正確にわかるので、造影剤の総量を減らすことも可能となります。
高速再構成:    最大6画像/秒の高速再構成が可能になり、大量の再構成処理もストレスなく行えるワークフローを実現しました。
心機能解析 (CFA):    冠状動脈の形態診断に引き続き、心機能解析(Cardiac MPR,Wall Motion, %Wall thickness、Regional EF, Polar Map)が最少のキー操作で迅速に行えます。


4.リアルタイム技術

撮影と同時に操作用モニターに世界最速秒速12枚のスピードでスキャン中にリアルタイムにCT再構成画像を表示できるので、スキャン位置や方向の確認、造影効果の確認が即座にでき、救急患者の検査で威力を発揮します。またこの技術を応用して造影剤の流入を自動検知し、最適なタイミングでスキャンを開始する当社独自の技術「RealPrep(リアルプレップ)」も標準装備しています。「RealPrep(リアルプレップ)」は造影検査では欠かせない機能として定着しています。リアルタイム技術はIntervention術で有用な超高速画像再構成、いわゆる「CT透視」にも応用されており、AquilionのマルチスライスCTでは3断面CT透視を世界で初めて実現しています。


Aquilion16 Super Heartの主な仕様

型式:TSX-101A
検出器 SSMD 896チャネルx40エレメント
スキャン時間 0.40、0.5、0.75、1、1.5、2、3 秒
収集スライス厚 0.5、1、2、3、4 mm
X線管 容量 7.5MHU(MegaCool)
X線管 冷却効率 1,386KHU/min
X線出力 120KV/500mA
撮影範囲 最大長さ180cm
最大直径50cm
ガントリ開口径 72cm
ガントリチルト角 +/― 30度
画像再構成時間 最短 6画像/秒
リアルタイム画像再構成時間 12画像/秒(1スライス512×512再構成時)
磁気ディスク保存容量 生データ3,600回転分、画像データ60,000枚
造影剤検知自動スキャン機能 RealPrep標準搭載
3次元処理 高精細ボリュームレンダリング(カラー)機能標準搭載


以 上

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