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September 7, 2012

320列エリアディテクターCTを使用したCTアンギオグラフィと心筋CTパフュージョンの組合せ検査の有用性を、初めての国際マルチセンタースタディが立証 ~ESC2012におけるCORE320臨床試験の結果発表~

Aquilion ONE™

東芝メディカルシステムズ株式会社(本社:栃木県大田原市/社長:綱川 智)が後援している国際マルチセンタースタディCORE320(注1)の結果が、2012年8月28日にESC2012(欧州心臓病学会)で、その主席研究者でジョンズ・ホプキンス大学医学放射線教授であるDr. João A. C. Limaより発表されました。発表内容の概要は以下のとおりです。

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CORE320は、血流低下のある狭窄部位に関するCTA/CTP組合せ検査の診断能を、SPECT‐MPI(SPECTによる心筋パフュージョン)と侵襲的な冠動脈アンギオグラフィ(ICA)による従来の検査と比較して評価する初めての国際的マルチセンタースタディです。そしてその結果は、320列CTによる非侵襲的な冠動脈CTアンギオグラフィ(CTA)と心筋CTパフュージョン(CTP)の組合せ検査が、血行再建術を必要とする血流低下を有する病変部を正確に同定することを立証しました。

「CORE320は、血管の閉塞評価と、どの閉塞が心臓への血流供給を妨げているかの同定に関して、CTの診断精度を評価する初めての前向き多施設共同臨床試験です。我々は、320列CT検査が負荷試験画像(SPECT)と心臓カテーテル検査による従来の方法と比較し、その結果に大変良い相関関係があることを発見しました。」とDr. Limaは述べています。
4種類全てのイメージング撮像を終了した381名の患者が、この臨床評価の対象となりました。ICA検査により狭窄度が50%以上と診断されたケースでは、血流低下を伴うCAD(冠動脈疾患)の診断精度(AUC:Area Under Curve、ROC曲線下面積)は0.93でした(CAD既往歴を除く患者群)。血流低下の疾患の診断において、CTA単独による診断精度は0.81(AUC)ですが、CTPを併用することにより、その診断精度を0.87(AUC)まで向上させます( p<0.001で有意差あり)。30日以内に血管再建が必要な患者の識別では、CTAとCTPの組合せ検査は、ICAとSPECT‐MPIの組合せ検査と同等の診断精度を持っています。

共同研究者は、CTAとCTPの2回の検査を行なっても、現在普及している64列CTの心臓CT検査より被ばくは少ないと報告しています。「我々の研究では、320列エリアディテクターCTによる2回の撮影の被ばく線量は、冠動脈アンギオグラフィと核医学負荷試験の組合せによる従来の検査方法の約半分でした。」とDr. Limaは解説しました。

CORE320で使用されたエリアディテクターCT Aquilion ONE™は、心臓全体を同時相で均一なボリュームとして撮影可能であり、その特長が心筋CTパフュージョン解析の精度向上に大きく役立っています。Aquilion ONE専用に開発されたパフュージョン技術は、逐次近似再構成法を応用したAIDR 3Dを併用することにより、さらに低い放射線量でもパフュージョン画像を得ることができます。
当社社長の綱川は「東芝の大切な使命の一つは、医療分野のリーダーの先生方による臨床評価試験を通して東芝の技術を検証することです。今回CORE320は、Aquilion ONEにより心臓の機能的および形態的解析がたった1回の検査で、かつ低線量で可能となったことを示してくれました。この技術により、異なったモダリティによる複数検査を減らすことが可能となり、心臓医療において本当の意味で経済的な効果と価値ある貢献をもたらすものです。」と、CORE320の成果について語っています。
Aquilion ONEと、そのオプションである独立形画像処理装置(TDS-003A)を組み合わせることにより、CORE320のデータ収集と解析で使用した心筋CTパフュージョンソフトウェアすべての機能を、日本の医療施設でも活用できます。
さらに当社は、臨床現場で医師が心筋CTパフュージョン検査を実施するために、コペンハーゲン(デンマーク)のRigshospitaletで定期開催される心筋パフュージョンCTワークショップを協賛しています。CORE320にも参加しているDr Klaus Kofoedは、この共同プログラムの理事であり、全ての参加者に臨床試験の経験からの知識やノウハウを提供しています。


(注1)CORE320スタート時のリリース:http://www.toshiba-medical.co.jp/tmd/company/news/081203.html

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図1 評価に用いた4種類のイメージングの例 

パネルA:CTA画像
左前下行枝(LAD)の100%狭窄 

パネルB:ICA画像
左前下行枝(LAD)の100%狭窄 

パネルC:CTP画像
基底部前壁(重度)、遠位部前壁(重度)
遠位部前壁中隔(中等度)、心尖(中程度)
遠位前壁と心尖部には固定性欠損あり 

パネルD:灌流障害のSPECT画像
遠位部前壁(重度)、遠位部前壁中隔(重度、固定性)、心尖(重度)

【東芝メディカルシステムズについて】
東芝メディカルシステムズ株式会社は、疾病の早期発見のためのスクリーニング、診断から治療、治療後のフォローアップまで、医療施設におけるワークフロー全般に関するあらゆるニーズへのトータルソリューションを提供する国内市場における画像診断システムのトップメーカーです。 当社の経営スローガンである「Made for Life™」(患者さんのために、あなたのために、そしてともに歩むために)を通じ、かけがえのない命とお客様の成長・成功に役立つよう、一層の活動を進めてまいります。
東芝メディカルシステムズ(株)ホームページ:http://www.toshiba-medical.co.jp/

【地球環境への取り組み】
東芝グループの一員である当社は、「地球内企業」としてより良い地球環境の実現のため、開発、調達、製造、販売、サービス、廃棄段階まで一貫して環境への影響に配慮した医療機器・システムの提供を通じて地球温暖化防止をはじめとし、資源有効活用、化学物質管理を通した地球との共生や豊かな価値の創造のために取り組みます。
東芝メディカルシステムズ株式会社 環境活動:http://www.toshiba-medical.co.jp/tmd/company/env/
(株)東芝環境活動:http://www.toshiba.co.jp/env/jp/index_j.htm

※Aquilion ONE、Made for Lifeは東芝メディカルシステムズの商標です。