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May 27, 2016

川崎市と東芝メディカルシステムズによる熊本地震被災地の支援

-食中毒原因菌を短時間で判定できる「DNA検査システム」を供与します-

概要 

被災地において適切な衛生環境の確保に寄与するため、川崎市健康安全研究所と株式会社東芝(以下「両者」)との共同研究の成果として開発された「DNA検査システム」(注)を被災地へ供与します。

背景 

平成24年3月に発生した東日本大震災の復興支援の一環として、被災地域の避難所、給食施設等における食中毒原因微生物のモニタリング、迅速検査の必要性から、両者は共同研究を行い平成27年1月に同システムが開発されました。
今回の熊本地震の発生に伴い、「こうした状況のときにこそ同システムを活用するべき」との思いが一致し、システムの事業を継承している東芝メディカルシステムズ株式会社(以下「東芝メディカル」)の全面的協力を得てシステムを供与することになりました。

供与するシステム 

(1)DNA検査装置
熊本県保健環境科学研究所及び熊本市環境総合センター(いずれも衛生研究所)に各1台を配置 

(2)検査キット(検査用DNAチップカード)
それぞれの施設へ300枚 計600枚を提供

※ 供与にあたっては、5月31日(火)、6月1日(水)の2日間、川崎市健康安全研究所と東芝メディカルから担当者を現地へ派遣し、操作説明・指導等を行います。 

供与する時期・期間等 
5月31日(火)から約6か月を予定 

その他

● 川崎市は、サンプル調整法などの技術支援・指導を行います。 

● 東芝メディカルは、検査装置の無償貸与、消耗品である検査キットの無償提供等を行います。

(注):「DNA検査システム」 今回熊本に供与するDNA検査システムは、検体から抽出した核酸サンプルを検査用DNAチップカードに添加し装置にセットするだけで、何のDNAかを判定することができるシステムです。サルモネラや腸管出血性大腸菌など14 種類の食中毒原因微生物を2 時間程度で迅速簡便にスクリーニングすることができます。
DNAチップには、用途に応じ、検出対象となるDNAに対応した相補的な配列のプローブDNAが複数種、電極の上に予め固定化されています。 DNAチップ上に検出対象となるDNA(検体DNA)を添加することにより、検体DNAと相補的な配列のプローブDNAがハイブリダイゼーションします。その後、DNAチップ上に挿入剤を添加することで、ハイブリダイゼーションにより2本鎖になったDNAにのみ挿入剤が結合します。この状態でDNAチップに電圧をかけることにより挿入剤が酸化することで電極に電流が流れます。この電流を測定することにより、検体DNAを判定します。

※ 本検査キットは研究用であり、確定検査用ではありません。

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DNA検査装置(W490×D270×H450)

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検査装置に貼付するステッカー