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メディカルレビュー91号
脳動脈瘤
山中一功
山中 一功先生
3D-Angio

財団法人 大阪脳神経外科病院 第2診療部長

私に与えられましたテーマは、脳動脈瘤の3D-DSAの有用性と問題点ということで、お話を進めていきたいと思います。
まず、3D-DSAは手技上、動脈穿刺下に行う検査であり、詳細な情報を得るために侵襲性の高い検査をやっているわけですから、できるだけ安全な手技を行うことを基本に進めております。また、最近の脳動脈瘤の治療は、開頭して行うクリッピング手術だけでなく、非開頭下に行う血管内治療を選択する症例も増えてきました。治療成績や治療選択基準に確立されたものはありませんが、今後、血管内治療は開頭クリッピング手術に匹敵する治療になりうると考えています。この血管内治療を選択した場合には、治療手技としてDSAを使用します。こういったことより、この治療手技をさらに精度の高い治療にしていく場合、また、若い先生方がこの治療を習熟していく場合には、検査として侵襲のあるDSAをある程度やっていかなくてはいけないと私は考えております。そこで、私達の施設での脳血管撮影について現況を述べますと、昨年の4月から11月までコンベンショナルな脳血管撮影を約800件近く施行し、その内、回転DSAを約600件に行っていました。脳動脈瘤手術症例は年間70-80件ですので、術前後と疑い症例を含めて約200件の回転DSAが脳動脈瘤患者に行われていることになります。そして、脳動脈瘤治療対象症例の約3割程度に、コイル塞栓術が施行されていました。したがって、最近の画像診断の役割は、今までの存在診断だけでなく、撮影手技が脳動脈瘤の治療に応用される時代に入ったといえると思います。
次に、この回転DSA・D-DSAの有用性についてはすでに幾つか報告があるわけですが、存在診断あるいは治療適応や方法の決定瘧J頭術における手術シミュレーション瘢ヌ栓術中リアルタイムに得られる情報瘤。療後評価などに有用性が高いと報告されています。これらの多くの点が3D-CTアンギオやMRAでも可能な訳です。では、3D-DSAで何が有用なのかと考えますと、やはりリアルタイムに描出できる点と末梢血管や穿通枝など細い血管まで立体的に描出できる点ではないかと考えます。さらに、骨やクリップあるいはコイルなどによるアーティファクトの影響が少なく、また計測が簡単にできるという点も有用な点ではないかと思います。
それでは、これより、実際の症例から有用性について述べたいと思います。今回お示しする3D画像作成は、初期にはInfinix、現在はCeleveを使用し撮影しました。これより得られたデータをザイオ社のワークステーションでボリュームレンダリング(VR)、MIP像あるいはMPR、バーチャルエンドスコピックモード(VE)を駆使して診断を行っています。
この症例は、MRAやDSAで右中大脳動脈瘤と診断し、3D-DSAを行うと、これはCTアンギオでも分かったかもしれませんが、当初動脈瘤と思った場所は蛇行血管で、別の場所に約3mm大の小さな動脈瘤が見つかりました(図1)。また、これは血管奇形を伴った動脈瘤ですが、見た目では内頸動脈後交通動脈分岐部が通常と異なる走行で、動脈瘤の部位が判然としなかった症例です。3D-DSAを行うと、このように明瞭に分岐部が描出され、動脈瘤が三個あることが明らかになりました。また、画像を回転することでさらに詳細に検討することが可能で、本来であればこの部分は内頸動脈先端部になるわけですけど、このように内頸動脈後交通分岐部直後より狭窄があり、さらに屈曲した後、前大脳動脈が分岐していることがわかったという非常に変わった形の動脈瘤です。実はこの方は血管内治療を希望されて来院したのですが、なかなか難しいという結論に至り開頭クリッピング術を施行しました(図2)。またコイルの塞栓術を行うと、その中で、時にコイルコンパクションによる再発がおこって参ります。このような症例に対し、次に治療をどうするか考えていかなければならないのですが、3D-DSAのボリュームレンダリングだけで評価することはなかなか難しいことが多々あります。当院ではMPRにより評価することが割と多く、画像にお示ししますように、この症例は、左A2のところにコイルが一部脱出しているためにそれ以降の前大脳動脈の描出が悪いということが分かりましたので、これに血管内治療を追加することはまず不可能ということで、早々に外科的処置をしていく方向になりました(図3)。
これは頭蓋底骨内の動脈瘤ですが、かなり以前に後交通動脈瘤のクリップがなされ、それに合併した動脈瘤です。これはなかなかCTアンギオなどで観察は難しいかと思うのですが、これも3D-DSAボリュームレンダリングでネックの状態と親血管との関わりが評価できますし、先ほど同様MPRでの計測、親血管の計測もできますから、ワイドネックの治療を行っていくときのバルーンの選択やコイルの選択に非常に役立つと考えています(図4)。
最後に、3D-DSAの問題点と撮影における注意点についてもお話したいと思います。
回転画像収集時の問題としては、体動や血管拍動があり、これによってモーションアーチファクトが起こってきます。左は術中にラプチャ(破裂)し、体動が激しく、このように汚い画像になってしまいました。また右のボリュームレンダリング像は体動はほとんど無いのですが、拍動に伴って動脈瘤内のコイルが動いた場合です。ある程度大きな動脈瘤で経験するのですが、通常DSA撮影時では、体動によりマスク像とコントラスト像がずれた場合でも、Pixel Shiftという後処理技術によってマスクずれ補正が可能なことがありますが、3D-DSAでは、Pixel Shift処理が不可能なため、このようなアーティファクトが見られる場合があります(図5)。
また、3D-DSAでは通常のDSAより造影剤をたくさん使うという問題もあります。これによる最も重大な合併症として撮影中の再破裂を経験しました。回転DSAにて鮮明な再構成画像を得るためには、親血管から動脈瘤にかけてずっと造影剤で満たされている必要があると考えていたため、それまでは回転速度から約5秒間、動脈相を描出できるよう、総量18ccを3.5cc/sで注入していました。すると検査の直前まで非常に安定していたにもかかわらず再破裂しました。それ以来、破裂例の場合に何とか造影剤を減らすことできないかと考えファントム実験を行ったところ、総量9ccで2cc/sで十分可能であることを確認しました。
最後に、3D-DSAの計測の正確性は実際どうなのかということもファントム実験を行いました。実験の詳細は省きますが、若干縦方向、横方向での計測に誤差が認められましたが、window levelによる慣れた技師間での計測値に差は有りませんでした。また、3D-DSAの計測誤差により治療への影響はほとんど無く、むしろ2Dで角度が良く分からないままに計測を行う場合に比較して誤差が少ないという結果になりました。 以上3D-DSAが侵襲のある検査であることを十分理解した上で、3D画像作成の特性を考えて立体構造を詳細に検討したり、血管系の情報がリアルタイムに得られることは、治療適応の決定や治療手技の安全性を高める、極めて有用なモダリティであると考えております。
図1 右中大脳動脈瘤 図2 DSAでは動脈瘤の部位決定に難渋した症例
DSAにて中大脳動脈瘤を疑うも、疑った場所は蛇行血管で異なる場所に約3mm大の動脈瘤を認めた。 DSAにて血管走行異常を伴うRt IC-PC aneurysmが疑われた。
3D-DSAにて、Rt C1の狭搾部直後より2個のRt IC-PC aneurysmを認め、続いてICが屈曲し3個目のIC-Ach aneurysmを認めた。
図3 前交通動脈瘤コイル塞栓術後再発例 図4 右内頸動脈後交通動脈瘤術後,内頸動脈大動脈瘤(C4)
約1ヶ月後にコイル塞栓術後のCoil compactionにより再発した。再度コイル塞栓術を試みるも、MPR像にて左A2起始部にコイル脱出を認め塞栓術困難と判断し、開頭クリッピング術を施行した。 DSAでは抽出困難な動脈瘤ネックの状態も3D-DSAでは非常に詳細に抽出可能で、血管内治療を施行する際に重要な動脈瘤の計測もリアルタイムに可能だった。さらにクリップ術後残存動脈瘤もアーチファクトなく抽出できた。
図5 3D-DSAのモーションアーチファクト  
左図は回転DSAの撮影中に再破裂したため激しい体動により、再構成画像が抽出できなかった。
右図は前交通動脈瘤に対するコイル塞栓術後の確認撮影だが、動脈拍動によるマスク像とコントラスト像のずれ補正であるPixel Shiftという後処理技術が、3D-DSAでは不可能なため、このようなアーチファクトが見られた。
   


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