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メディカルレビュー91号
頸動脈疾患
長束一行
長束一行先生
US

国立循環器病センター 脳血管内科 医長

私に与えられた課題は超音波による頸動脈病変の診断、それからそれを治療にどのように結び付けて行くかということです。
頸動脈病変の治療というのは内科的治療と外科的治療に大きく分けられますが、多くの場合、頸動脈の治療法は狭窄率によって選択されているわけです。それから症候性であるか、無症候性であるかということも選択基準となります。内科的治療としては一般的に高血圧、糖尿病、高脂血症といった危険因子の治療と、抗血小板療法が主体となります。主には軽度の狭窄性病変が内科的治療の対象になるわけですが、高度狭窄になってきますと外科的な治療、従来からずっと行われてきた血栓内膜剥離術、CEAと略されていますけど、こういうものがあって、さらに最近ではPTAやステント留置がかなり普及してきました。
頸動脈の内膜剥離術の適用においては色々なスタディがありますが、一番代表的なのはこのスタディ (North American Symptomatic Carotid Endarterectomy Trial :NASCET)で、症候性の頸動脈病変で70%以上の狭窄があった場合、2年間のフォローアップを行い、外科的治療では脳梗塞の発症が9%であったのが内科的治療では26%と明らかに有意差があるということで、現在日本でもこの基準で治療選択が行われております。それに対して無症候性の頸動脈病変、これもたくさん見つかるようになってきましたが、超音波のスクリーニング検査が普及してきたせいでもあります。この治療選択についてはこのスタディ (Asymptomatic Carotid Atherosclerosis Study : ACAS) が有名であり、なぜか症候性よりも低い60%以上の狭窄で有意差が出たということになっております。ただし、これは5年間のフォローアップで外科的治療では脳梗塞の発症が5%だったのに対し、内科的治療は11%、年間に直しますと1%と2%と、非常に微妙な差ですので、無症候性の頸動脈病変についてはどのように治療して行くかというのはいまだ色々議論の分かれるところです。
狭窄率を超音波で算出する場合には一般的には面積で計測しています。しかし、先ほどの狭窄性病変の治療戦略に使われる狭窄率というのはこのNASCETの方法が一般的でして、頸動脈狭窄の一番強い部分の径と、それより遠位部の内頸動脈の径を比較するという方法で、かなり狭窄率はシビアに評価されます。実際の例として、面積ではかなりの狭窄性病変があるのですが、この例ではNASCETでいくと70%、こちらの例では内腔の径があまり小さくなっていないため0%と、これだけ違ってくるわけです。ですから、狭窄率評価ではどのような方法で狭窄率を出すかというのも非常に重要な問題になってきます。
それから、頸動脈ステントが新たな治療選択として現れまして、このように綺麗に頸動脈を拡げることができます。ステント留置中に循環器病センターでは、経頭蓋ドップラという方法により中大脳動脈に流れ込んでくる血栓を検出しています。するとステントが開いた瞬間や、バルーンで拡げた瞬間にパラパラと(ここにある赤い点は全部血栓ですが)こういうものが流れ込んできます。このような現象に対して最近ではステントを留置するとき遠位部で塞栓のプロテクションするテクニックが開発されています。心臓では遠位部への塞栓というのはあまり問題にならないのですが、頭の場合には脳梗塞を生じますので非常に危険なものになるわけです。
内科的治療によっても狭窄病変が変化することがあります。これは72歳の男性でTIA(一過性脳虚血発作)の患者さんで、プラークの経時的変化を抗血小板剤を投与しながらフォローしていた例です。2000年の時には頸動脈はこの程度であり、ほとんど狭窄はありませんでした。ところが2年間でこれだけ狭窄が進んでしまいました。この時点で狭窄性病変が進んできたため、内膜剥離術の適用もありますということで患者さんに説明したのですが、患者さんは手術よりも内科的治療をお願いしたいということになりました。血液検査の値を見ますと、総コレステロールが243mg/dlと少し高いので、今話題のスタチン製剤、それから血圧を少しコントロールする薬剤を追加いたしました。すると、一年間でこのように狭窄性病変の改善が見られてきたわけです。こういう経時的な変化を追跡するというのは非常に超音波の得意とする分野であり、スタチンでもう少し軽い初期の粥状硬化を改善させるというデータも超音波によりたくさん出てきていますので、今後はこのような戦略も選べるようになるのではないかと考えています。
超音波の一番大きな特長は非侵襲的で何回もでき、繰り返し検査をすることによってフォローアップがやりやすい、さらに解像度が高くて0.1mmレベルで病変を見ることができることです。それから、ここに示すようにエコー輝度によってプラークの性状診断、組織性状を推測することができるということがあります。輝度の非常に低いプラークに関してはおそらく血腫とか粥腫で中が構成されていて、輝度が少し高くてこの辺に内中膜と呼ばれる部分がありますが、それと輝度があまり変わらないようなプラークというのは線維組織と考えられます。さらに輝度が高くなってくると、これは石灰化が関与していると言われています。また形態的にも非常に小さな潰瘍も見えますし、後で少し話しますけどこのような不均一性というのも評価することが可能です。
プラーク輝度と予後の関連というのは最近たくさん報告が出ており、一般的には輝度の低いプラークが危険であるという方向になっています。これは急性期の変化を見たもので、入院当日に非常に大きな狭窄性病変があり、エコー輝度が非常に低いプラークがありました。この方は半年前にラクナ梗塞で入院されており、その時にはここにほとんど病変はありませんでした。この症例を治療し、8日後にフォローアップしますと、この輝度の低かったところは、輝度が徐々に上がってきまして、さらに先端に可動性のある部分が見つかりました。この時点で2mmくらいの大きさがあったため、患者さんには緊急でCAE(血管内膜剥離術)を薦めたのですが、患者さんは拒みまして、恐る恐る次の日に見ますとこの部分は無くなって消えていました。患者さんには幸い何も起こらずにMRIで無症候性の脳梗塞も起こっていなかったという経過をとった例です。おそらくこの病変の大部分はプラーク内に出血が生じたのではないかと考えており、この症例をさらに年単位でフォローしていきますと、ここにあったプラークがだんだん消失して綺麗になってしまいました。おそらくこの器質化した血栓がだんだんくずれていって無くなってしまったんだろうというふうに思われます(図1)。
これは最近経験した症例で、TIA(一過性脳虚血発作)を頻発しておりまして、両側性の頸動脈病変がありました。こちらが外頸動脈で、ここに非常に高度な狭窄があって、内頸動脈がここに見えてきます。この部分は全部プラークで、一部輝度の低いところがあります。動画で見ますとこの粥腫になっている部分がぶよぶよ動いているのが分かります。唾を飲み込むと、このようにグニャッとへしゃがるのですが、ここにも可動性の部分があって、しかもここで内膜が断裂するように見えるところがあります。この症例は、この検査を行った後に経頭蓋超音波ドプラーによって中大脳動脈内の血栓を調べると、パラパラと飛んできていました。こういう不安定な場所から血栓が流れてきているんだろうということが分かります。
ステントを入れるときの診断、適用を決める場合、われわれの施設では術前にエコーを行っており、プラーク輝度とステント留置術の合併症について関連を調べました。すると、症候性の合併症が起こった全例が低輝度のプラークであることが分かり、現在ではプラークの輝度を参考にしながらステントにするか、それともCAEにするか選択するようにしています。
これは亜急性期の発症一ヵ月くらいの粥腫でして、おそらくプラーク内出血を起こしていると考えている症例です。もともとの狭窄部分が見え、さらにこの部位とは別の部分にプラークの中を流れるような血流が見られます(図2)。明らかにこの中に血流があって、粥腫が次第に変形して壊れていく過程を表していると考えております。
こういったリアルタイムの動きというのはなかなか他のモダリティでは分かりにくいのではないかと考えています。これは昨年報告されたストローク(誌)に報告されている文献でして、同じような狭窄率であっても均一なプラークと不均一なプラークを比べると、不均一なプラークのほうが症候性の病変が多く、不均一なプラークがより将来的には脳梗塞を起こしやすいと推測されているわけです。ここで不均一なプラークをフォローしていくと、どうなるかという症例を提示します。少し見えにくいですが大半が輝度の均一なプラークでですが、真中に輝度の低い不均一な部分があります。この症例をフォローすると、一年も経たないうちにこの不均一なところが破けて中に血流が入り込む形になり、プラークが破綻していく過程を見ることができます(図3)。この経過中に幸い症状は出現していないのですが、このようなプロセスを超音波で捉えることができます。
これはさらに進行したような例で、おそらく昔あった低輝度な箇所が裂けて潰瘍ができていますし、さらにファイブラス・キャップ(繊維性皮膜)に非常に近いところまで忍び寄っている低輝度なプラークがあり、非常に危険な状態であると考えられます。このようなケースに対しては、個々の症例にあわせて治療を選択していくことが必要であると考えております。
さきほど内藤先生からお話がありましたように、壁在血栓が飛んで塞栓を生じるというメカニズムがありますが、これは偶然ASOの術前検査のスクリーニング検査で捉えられたものでして、ここにブヨブヨした、おそらくプラークに付着した血栓が見えています。それほど大きなプラークではなく、ここに有形性のブラブラする構造物が見えて、おそらくもともとここに付着していた血栓が剥がれていって、この部分に残って揺れているものと考えられます(図4)。この症例も大きい可動性の血栓ですので、緊急の手術をする必要があるということで、色々相談したのですけれども、3時間後にもう一度エコー見ますと、ほとんど無くなっており、僅かに茎の部分が残っているだけとなっておりました。このように、非常に短時間に変化していくものも超音波では捉えることができます。この方も、血栓が無くなる間に幸い症状は無く、この僅かに残った部分も翌日に見るとまったく無くなっていたので、後の画像だけを見ると何も無かったということになってしまうわけです。
この画像は脳梗塞の発症当日にエコーを撮った症例ですが、この部分がやはりブラブラ揺れるところがあります。先ほどの所見に非常によく似ておりまして、やはりこういう症例はプラークについた血栓が流れていって脳梗塞を起こしたのではないかと考えられます。このケースも可動性の部分は一日たつとほとんど解らなくなってしまいますので、急性期に捉えないと分からないということになるわけです。
以上、超音波検査というのは形態だけではなく、組織的、動的な変化をリアルタイムに捉えることができるため、頸動脈病変の診断に不可欠な検査だと考えています。特に脳梗塞例では超急性期に動的な変化についても注意深く観察する必要があると思っております。


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