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メディカルレビュー91号
末梢動静脈疾患
浦田譲治
浦田譲治先生
CT・MR Angiography

済生会熊本病院 画像診断センター 部長

済生会熊本病院の浦田です。私に与えられたテーマは、CTAとMRAの最新技術を末梢動・静脈疾患にどう臨床応用するか、についてです。しかし、限られた短い時間ですので、疾患を絞って、特に下肢の閉塞性動脈硬化症を中心にお話ししたいと思います。
先生方がご存じのように、下肢動脈は、解剖学的に体軸方向に長く、健常者においては血流が速いという特徴を持っています。そのため、下肢動脈全体を画像化するためには、広範囲を速く撮る撮像技術が必要となります。東芝の場合、CTにおいてはマルチスライスCTのさらなる多列化が進み、16列のみならず32列も近い将来導入されようとしています。また、MRIにおいてもSPEEDERによる短時間撮像やmoving bed法による下肢全体にわたる広範囲のMRAが応用されており、ソフト面でもSwirl法にDRKSを併用したデータの高速な収集法もすでに臨床に使われています。このようなハードやソフトの進歩により、末梢血管領域の精細な画像診断が可能となってきています。さらに、今回お話する下肢動脈の狭窄・閉塞のある症例においては、血流が極端に遅延しており、造影CTや造影MRIにおける撮像タイミングの決定がしばしば困難となります。以前は、造影タイミングのミスや造影不十分といった失敗も時に経験しました。しかし、最近ではリアルタイムに造影剤の到達をモニタリングしタイミング良く撮る方法として、CTではリアルプレップ、MRIにおいてはビジュアルプレップという手法が開発され、臨床的に非常に重宝しております。また、臨床的に動脈硬化症の患者さんには高齢者や重症者が多いということや、動脈硬化症は全身的な疾患ですので、高度な動脈硬化症の場合潜在的な腎機能障害を合併している可能性を常に考えておかねばなりません。したがって、できるだけ造影剤、特にヨード造影剤を控えたいというのが私たちの考えです。また、ガドリニウム造影剤は基本的に腎毒性はないといわれていますが、腎機能障害の場合ガドリニウムの排泄遅延が予想されるため、可能なら使用しない方が良いのではないかと考えております。最近、造影剤を使用しない新しい3D-MR血管撮影法として、FBIというテクニックが開発されました。下肢血管撮影の場合はflow spoiled FBIという方法を用いますが、非造影で分解能の高い画像が得られ、この領域の血管撮影法として、私たちの施設ではルーチンで活用しています。以上、末梢動・静脈領域におけるCTAとMRAの最近のテクニックを簡単に紹介しました。なお、今回はこれらの技術の解説は、時間の関係上割愛させてもらいます。
それでは、これらのテクニックを用いた実際の症例を呈示します。
症例1は閉塞性動脈硬化症で、両側の大腿‐膝窩動脈バイバス術後です。経過観察で施行したCTAのMIP像とVR像です。右足のバイパスは開存しています(黄矢印)が、左足のバイパスは閉塞しています(赤矢印)。左膝窩動脈以下は側副路により血流が認められます。これだけ広い撮像範囲でも、16列のMDCTでは10~15秒間で撮像でき、非常に高精細な3D画像を得ることが可能となりました。簡便に低侵襲性に検査を行うことができ、従来行われていたDSAは診断の目的としてはもう必要ないのではないかと考えております。また、CTAのMIP像においては、石灰化の描出も可能で、術前の情報として有用です。
症例2も閉塞性動脈硬化症の患者さんで、大腿-大腿動脈バイバス術後です。経過観察のFBIによる非造影MRAと造影MRAの画像です。両側浅大腿動脈が完全閉塞し、側副路により末梢側の動脈が描出されている所見が、非造影および造影の両方のMRAともに明瞭に認められます。デジタル・アンギオグラフィーでも同様の所見でした。
以上、CTAとMRAの症例を呈示しました。それでは、末梢動・静脈疾患においてCTAとMRAをどう使い分けたらよいか?ということを、私なりに考えてみました。両者ともに低侵襲的な検査法であり、外来で施行することができます。したがって、スクリーニングとしては先生方の施設で得意とされている検査法を選択されれば、基本的には問題ないかと考えます。もし、CT・MRIともに高性能で最新式の装置が使えるとすれば、私たちはMRIをスクリーニングとして、CTを精査として用いるのが良いかと考えます。この理由としては、CTは非常に空間分解能が高く、狭窄率の正確な判定が可能であること、また術前の情報として石灰化の程度の把握が重要であるためです。また、MRIをスクリーニング検査として薦める理由としては、先ほど述べましたように、合併症としての腎機能障害の可能性を考慮し、ガドリニウム造影剤あるいは非造影で血管の情報を得たいためです。さらに、造影MRAにおいては一部位に限って撮像することにより、経時的な血流動態の評価も可能です。
ここで、MRAにおいて、非造影と造影との使い分けについても私たちの考え方を御紹介しておきます。先ほど述べましたが、下肢の一部位であれば、造影MRAは病変の存在診断のみならず血流動態の把握もでき、非常に有用であります。しかし、下肢全体を撮像するためには最低2~3部位の撮像が必要となります。本邦における現在の保険診療上は使用できるガドリニウム造影剤の量が0.2mL/kgと決められておりますが、この使用量では下肢全体の造影MRAは不可能です。したがって、下肢領域全体を撮るためには現在のところ1回の造影剤投与で広範囲に撮像できるmoving bed法を使用するしか方法がありません。しかし、造影MRAでは検査の途中で患者さんが動かれるとサブトラクションがうまく行えず、診断不能になる場合もあります。非造影であれば、極端に言えば、繰り返し何回でも撮影が可能です。さらに、今後DPC(包括医療)を考えた場合に、コスト面からもまず非造影MRAが選択されたほうが良いと思います。非造影MRAで病変が指摘された場合、次に病変部に絞って造影MRAにて血流動態を把握することが診断的により多くの情報が得られると考えます。われわれの施設での検討では、FBIにおける下肢動脈閉塞性病変の描出能は良好で、造影MRAとの比較でも有意な差はみられませんでした。また、今回の画論のベストイメージを見ましても、各施設から非常にきれいなFBI画像が呈示されており、スクリーニングとして十分に使用できると考えます。ここで、閉塞性動脈硬化症の患者さんで、ガドリニウム造影剤による副作用の既往があったため、その後FBIだけで経過観察した症例を呈示します(症例3)。FBIで左浅大腿動脈に2箇所の狭窄があり、側副路の発達が認められます。ほぼ同時期の精査のデジタル・アンギオグラフィーでも同様の所見でした。同狭窄部に経皮的血管拡張術を施行し、経過観察しておりました。5ヵ月後に左足の虚血症状が再発したため、再度FBIを撮像し、左浅大腿動脈の完全閉塞が確認されました。FBIのみでも十分診断が可能であります。
今回、末梢静脈疾患については、時間の関係上詳しくは述べません。しかし、先ほどから述べておりますFBI法は、1回の撮像で動脈と静脈の両方の画像を一度に得ることも可能で、末梢静脈病変のスクリーニングにも有用と考えています。症例を一例呈示します。症例4は下肢深部静脈血栓症に対して施行したFBIによる非造影のMR venographyと経静脈性に造影剤を投与し、サブトラクション法により作成した造影MR venographyです。両撮像法ともに右下肢の深部静脈の描出が不良で、血栓の存在が疑われます。しかし、造影に比べ、FBIの方が血栓の存在範囲がより明瞭に描出されています。
最後に、下肢末梢動脈病変における画像診断のストラテジーについてまとめてみました。緊急の場合は、まず超音波検査を行い、血栓除去術あるいはバイパス手術の適応がある場合はIA-DSAを行う。問題となるのは、慢性期の場合です。治療の適応上、側副路の有無や石灰化の程度といった情報が重要になります。スクリーニング検査としては、可能ならMRAを施行し、側副路や血流動態などの所見を評価する。もし、経皮的血管形成術やバイパス手術などの治療が必要であれば、IA-DSAによる精査を行う。その場合、治療上石灰化の情報が必要であれば、CTAを行っておくのが良いかと考えます。CTAによるスクリーニングを最初から選択される場合は、検査前の腎機能のチェックは不可欠です。また、術後の経過観察に関しては超音波検査を第一として行います。ただし、超音波検査の場合は術者のテクニックに左右される場合がありますので、客観的に下肢血管の全体像を把握する場合には、CTAやMRAでの経過観察も考慮した方が良いかと考えます。以上、全く勝手ではありますが、私なりのストラテジーを述べさせていただきました。しかし、基本的には各々の施設の得意な診断テクニックを用いて、有用な治療方針を建てることが重要と思われます。御静聴ありがとうごさいました。


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