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メディカルレビュー91号
冠動脈疾患
似鳥俊明
似鳥俊明先生
MR Angiography

杏林大学 医学部放射線医学教室 教授

Cardiac MRIは多くの最新技術で支えられていますが、とくに東芝では「SPEEDER」と呼ばれるparallel imaging法や、同じく「true SSFP」とされるsteady-state coherent gradient echoという高い心筋血流信号のコントラストを持つ高速撮像法が注目されています。
図1-Aが従来のgradient echoによる右冠動脈で、この画像を撮るのに従来30分の時間を要していました。 呼吸同期をするnavigator echo法で撮像します。しかし新しいsteady-state gradient echo法(図1-B)で行うと、撮像時間は5分と大きく短縮できます。2つの画像を比べて短時間撮像のsteady-state gradient echo法に遜色があるどころか、微細な病変についてはむしろ優れていることがご理解いただけると思います。東芝装置ではこのnavigator echoを「real time motion collection」と呼称し、MDCTの手法を取り入れて心臓を上から下まで全部撮像します。体軸の横断面を中心に撮ることにより、このようなWhole Coronary MRAという画像が得られます(図2)。画像を追いかけていくことで、どこに狭窄病変があるか、あるいは閉塞しているかというような診断が可能です。もちろんMPRによりさまざまな断面を表示することも可能です。このように非造影法で4~5分という撮像で臨床的価値のある三次元表示が可能というところまでcoronary MRAも進歩しています。しかし現在coronary CTAが大変なperformanceを示しています。ここではなぜ今coronary MRAなのかを中心に考えてみたいと思います。
ひとくちに非侵襲的な検査といっても対象患者さんはさまざまです。一般の人々の健康診断にもこれからは虚血性心疾患の画像診断が含まれてくる時代にさしかかっています。糖尿病などのハイリスクグループの定期的検査に対しての応用や、実際に虚血性心疾患に陥った場合でも急性期と慢性期それぞれに検査法は違ってきます。CABG・PTCAあるいはステント術後のフォローアップになるとまた役割が異なります。MRIは造影剤を用いずに検査することが多くの場合で可能であり、全く被曝もありません。したがって一般的な健康診断あるいは長期にわたって度重なる再建術後のフォローアップなどで大きな役目を果たしてくるであろうと考えられます。ステントについてのMRIの役割というとちょっと首をかしげられる方もいますが、この画像でお答えしたいと思います。これはドイツのギュンター先生が発表されたもので、MRIにおけるアーティファクトの全く無い冠動脈のステントです。銅が主体の成分と報告されています。まだ現在のところ動物実験の段階ですが、もうじき臨床応用が可能となるものと期待されています。16列のMD-CTでもステント内血流診断はなかなか難しいとされており、むしろMRIのほうが優位になる時代があと数年後に来るかもしれません。
今なぜMRIかという2つ目の理由は、急性冠症候群という病態、つまり心筋梗塞や狭心症は必ずしも血管の狭窄度に相関しないというここ十数年の研究成果に基づきます。心筋梗塞の予防や診断には血管内腔だけを見ていてはいけなくて総合的に心筋を観察することが重要と考えられるようになってきました。”Comprehensive cardiac examination”、一つの店で全ての買い物ができてしまうone stop shoppingというニックネームも付けられていますが、一回の検査でcoronary MRA・心筋perfusion study・心筋viabilityの検査wall motionのcine studyさらには心機能の解析まで行ってしまおうという非常に欲張った試みが行われております。
図3はtrue SSFPを用いたcine MRIですが、retrospective gating法で撮像しています。この方法では拡張期の末期まで捉えますので、一旦収縮してもう一回跳ねるatrial kickという心房の収縮も観察でき、心臓の動きや解析に大変優れた方法といえます。この臨床例(図4)は下壁梗塞で、心室瘤が描出されています。さらに乳頭筋梗塞もあるため僧房弁を引っ張るという本来の役目が不全になることと、心室瘤により弁輪が拡大している2つの理由で僧帽弁不全症が出現したことが明瞭です。造影剤をまったく用いずにこのような観察ができることがMRIの利点です。
Perfusion MRIは、一つの断面を連続的に撮り続けて造影剤の動態を観察することで、心筋虚血像を同定する手法です。図4では造影剤が左室心筋に入って行く過程で、ほぼ全周性の内膜下に造影の不良な部分が認められます。この症例ではdelayed enhancementでは全くみられない、つまり虚血のみが全周性にあるということが言えるperfusion MRIです。
Delayed enhancement studyは、既に確立された心筋viabilityの診断技術ではないかと思います。viabilityという言葉の定義は、血行再建術後に局所心筋運動の改善ができるか否かを示すものです。したがって左室の壁厚の75%以上に心筋遅延造影があるということはかなり梗塞に冒されており、左室壁の改善を期待できない状態でviabilityなしと定義するというKimらの報告がよく知られています。彼らの新しい論文ではSPECTとCardiac MRIとの比較が行われています。心内膜下梗塞においてSPECTで見逃したような内膜下梗塞のかなりの部分をMRIが検出できるというものです。貫壁性の梗塞であれば、MRI・SPECTではほとんど同じくらいの検出率ですが、これが内膜下梗塞になってくるとSPECTでの検出率が有意に低下するとするものです。核医学をやっている先生方にはかなりショッキングなレポートでした。
東芝のMRIでは、この臨床的有用性の極めて高いDelayed Enhancement Study撮像方法を三次元で行うことに当初から取り組んでいます。SPEEDERを用いて三次元で短軸を、一回20秒程度の息止めで6枚から7枚の断層面を撮像、続いて長軸に合わせて同じように撮像するので、2回の息止めで短軸・長軸のdelayed enhancementが撮れます。SPEEDERを用いることで、同じ息止めの時間なのにシャッター速度を短くすると非常にシャープな画像が得られることになります。SPEEDERを使わないとき、SPEEDERを使ったときの画像を示します。図5はTaliumをもちいた心筋シンチグラフィとほぼ同じような結果が出た貫壁性梗塞で、図6は内膜下梗塞の症例でMRIでは明らかですがシンチグラフィではなかなか指摘することが困難な症例です。これだけの情報を三次元Delayed Enhancement Studyは2回の息止め検査でえられます。Cardiac MRIの大きな長所といえます。
最近、オランダのメディス社で開発されたMASSソフトウェアが東芝のMRIでも利用可能となり、われわれは共同研究としてさまざまな臨床応用を行っています。このソフトはCardiac function measurementに使いますが、心壁の動きを自動的にプロットし動きを客観的に表示します。図7はdelayed enhancementを行ったケースに対してのMASSによる心筋解析です。黄色い部分はdelayed enhancementの部分・内腔が赤・外側が網目の部分で、全体に対しての梗塞部分を客観的に定量表示することが可能です。さまざまなパラメータのBull's eye表示も可能で、核医学を見慣れた循環器内科の先生方には大変好評です。もちろん、左室容積を自動的にプロットして左室機能を経時的に観察したり、EF・EDVなども自動的に算出されるというという極めて便利なソフトです。
種々述べてきましたが、これだけのことをすべて一回の検査内でやると現状では40分から50分かかりますので実際はなかなか困難で、この中からいくつか選んで行うことは現実的であると思いますが、MRI撮像の高速化はさらに進歩を止めません。じきに当然のようにComprehensive cardiac MRI Studyが多くの施設で施行されると考えています。最先端Cardiac MRIの現状をお示し、今後の臨床応用の可能性が極めて大きいことを強調して私のお話を終了します。




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