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メディカルレビュー91号
冠動脈疾患
安野泰史
安野泰史先生
CT Angiography

藤田保健衛生大学 衛生学部 教授

イメージング技術の進歩、特にマルチスライス撮影法の進歩により、冠動脈のCTアンギオグラフィ(CTCA)は高画質が得られるようになり、冠動脈疾患の低侵襲な診断法として認知され、適用範囲も拡大しようとしています。さらに精密検査でも30分以内、スクリーニング検査であれば15分程度で外来での冠動脈検査ができることから、診断カテーテル検査の代用としてどこまで使えるかが話題になっています。しかし、検査時間の短縮に比し、未だに画像処理や読影に長時間を必要とし、自動抽出や自動解析を進めていかないとマンパワーの限界であるともいわれます。とは言え、IT技術は長足の進歩を遂げていますので、心臓の多時相多断面の厖大なデータ処理も自動化できる日が近いと思っています。もう一つ大事なことは、品質(画質)の確保です。まだエビデンスが少ない始まったばかりの領域なので、多施設間での共同研究により、検査法と評価法の標準化が必要だと考えています。
内径3~4mmという細い冠動脈をCTで診るためには、より薄いスライスで、心臓全体を一回の呼吸停止下で撮影する必要があるため、0.5mm厚16列MSCTの登場が必要でした。アイソトロピック(等方向性)ボクセルデータを得ることが、冠動脈の画像化には非常に重要だからです。一方、心臓の静止画像が撮れなければ空間分解能が高くても何の意味もありません。そこでもう一つの技術要素として、ガントリー回転の高速化(0.4秒/回転)が重要でした。そこにハーフ再構成法と心電図同期セグメント再構成法を用いて、最短70msの時間分解能が得られるようになり、広範な心拍数において静止画像が得られるようになったのです。さらに、CTCAで造影剤を使う時には、造影剤を注入してから造影剤が心臓に到達する様子をリアルタイムに画像化して本スキャンを開始するリアルプレップという技術も必要となります。最もタイミングの良い、つまり冠動脈の均一な高い造影の画像を得ることができます。
マルチディテクタの性能については、現在製品化されている16列MSCTは、0.5mm厚16列、1mm厚16列と使いわけることができます。2003年のRSNA(北米放射線学会)で発表された32列MSCT装置は藤田保健衛生大学で2003年11月から稼動していますが、これは0.5mm厚で32列を同時収集することができます。1mm厚でも32列同時収集が可能です。検出器の構造は、0.5mm厚用の検出素子が64チャネル並んでいます。よって列数が増加するとスキャン範囲が拡大します。私共は4年前から0.5mm厚で冠動脈を狙わなければ診断に意味がないと考えてきました。4列では一回呼吸停止下(30秒間)、0.5mmスライス厚で3cmの範囲しか撮れませんでした。これが8列、16列になったことで、一回呼吸停止下、0.5mm厚で心臓全体が撮れるようになったのです。さて、32列になると、実は同じパラメータで撮影すれば30秒間のスキャン時間が15秒間に短縮できます。これが画質の改善、冠動脈の連続性の改善につながります。1回転0.5秒スキャンに対して0.4秒スキャンは2割程度の回転スピードの違いですが、この32列MSCTを使用して、心拍数に応じて0.4秒スキャンと0.5秒スキャンを使い分けることで最短70msの時間分解能を得ることができます。
ここで、心拍数113~117bpmという私の経験上最も心拍数の多い症例を図1に提示します。緊張により検査中に心拍が上がった例です。決して良好な画像とは言えませんが、陳旧性心筋梗塞(OMI)でAHA分類#3番を完全閉塞しているプラークの様子が描出されています。#6番、#7番も診断に耐えうる画像が描出されています。
他に、不整脈にどこまで対応できるかという点についても研究しています。不整脈と言っても多種あり、それを一つの方法で解決できるとは思いませんが、まず心疾患に伴いやすい心房細動に対する対策を進めています。心拍数が49~103bpm、R-R間隔が580~1230msと撮影中に大きく変動する症例について、従来の方法で再構成すると収縮末期も拡張中期も非常に不連続な画像になります。われわれが提唱している絶対順方向指定法によると、収縮末期に連続性の良い画像が得られるようになり、今まで心電図同期再構成法は心房細動の適用でないとされてきましたが、今後は使えるようになるでしょう。
さて、このようにほとんどの症例でCTCAが得られるようになると、診断におけるワークフローをどう考えるかということが大切になります。
スクリーニング検査、精密検査、経過観察と3つに分けて考えると、スクリーニング検査としては冠動脈石灰化のスコアリングが電子ビームCTで既に行われており、これを引継ぐことになります。岩手医大の吉岡先生が電子ビームCTとマルチスライスCTで石灰化スコアリングを比較し、遜色なく使用できると報告しておられます。精密検査においては、外来で経静脈性にできる検査法として、冠動脈の狭窄、閉塞の診断、ソフトプラーク、リピッドリッチなどのプラークの性状の診断にどこまで使えるかというところが今後の課題だと思います。CAG(冠動脈造影法)検査は安全になってきているとは言え、PCIの術前検査としてはより低リスクの検査が求められます。冠動脈起始異常が前もって判るとCAGがより安全に施行できます。図2の症例は、LMT基部の#5番にソフトプラークがあり、一部リピッドリッチな部分があります。この部分のCT値のプロフィールカーブを作ってみると、マイナスの値からリピッドリッチな破綻しやすい不安定プラークが示唆され、循環器内科の先生から慎重にカテーテルを進めて安全に検査ができたとの報告を受けています。
次に、経過観察としては、外科的なバイパス術やPCIによる冠動脈拡張術、ステント留置術後、再狭窄の評価、スタチン等の薬剤によるプラークの退縮評価に使われていくと考えています。
ステント術後の経過観察ということで症例を図3に提示します。LMTに留置されたステント内腔の評価ができ、その末梢側の#6番に再狭窄をきたしていることが良くわかります。これを短軸像で観察してみると、ステントのストラッド構造、末梢側の壁のプラーク、内腔の狭窄が認められます。
図4は、最新の32列、0.5mm厚で撮影したwork in progressの画像です。18秒間でスキャンが終了します。非常に安定した連続性の良い画像が得られています。#6番に100%の閉塞があり、この部分にプラークがあることが良くわかります。#12番にも軽い狭窄があります。画質が良く、MIP画像でもわかりやすく観察することができます。
バイバス術後のように、吻合部を全て0.5mmスライス厚で観察したい場合には撮影範囲が広くなります。この症例(図5)では16cmの範囲を25秒間でスキャンしています。三本の吻合が行われていますが、吻合部をそれぞれ観察できます。
最後にCTCAにおける更なる多列化の意義をまとめてみたいと思います。多列化により撮影時間が短縮され、それにより撮影中の心拍変動が減少して画質や画像の連続性が改善されます。30秒間のスキャンでは10%位に呼吸停止の不確実な方がいのですが、撮影時間が減ればその割合も減少し、良好な画像の得られる割合が増加すると思われます。セグメント再構成法における最適なヘリカルピッチの選択が容易になること、バイパス術後のように広範囲領域の撮影に有利になること等も期待できます。



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